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PER・PBRとは

株価の割安・割高を判断する、
最も基本的な2つの投資指標

PER・PBRとは

PER(Price Earnings Ratio/株価収益率)とPBR(Price Book-value Ratio/株価純資産倍率)は、株価が会社の利益・純資産に対してどの水準にあるかを示す、最も基本的な投資指標です。

いずれも個別銘柄の割安・割高を判断する尺度として広く使われ、決算短信のサマリー情報や証券会社の銘柄ページにも必ず掲載されます。投資家にとって、まず最初に押さえるべき指標と言えます。

ただし、PER・PBRは単独で見るのではなく、業種水準・成長性・ROEと組み合わせて判断する必要があります。本記事ではプロが使う具体的な見方を解説します。

PER(株価収益率)の計算と意味

PERは、株価がEPS(1株当たり利益)の何倍かを示す指標です。

PER = 株価 ÷ EPS(1株当たり利益)
= 時価総額 ÷ 当期純利益

PER 15倍とは、「現在の株価で投資した場合、会社の利益が同水準で続けば15年で投資資金を回収できる」ことを意味します。

一般的な目安は次のとおりです。

  • PER 10倍以下:割安と評価されることが多い(業種・成長性次第)
  • PER 10〜20倍:日本市場の平均的水準
  • PER 20〜40倍:成長期待が織り込まれている水準
  • PER 40倍超:高成長銘柄。期待が大きい一方、未達時の下落リスクも大

PERには、過去実績を基にした「実績PER」と、会社予想を基にした「予想PER」があります。投資判断では将来の利益が重要なため、実務では予想PERが重視されます。

PBR(株価純資産倍率)の計算と意味

PBRは、株価がBPS(1株当たり純資産)の何倍かを示す指標です。

PBR = 株価 ÷ BPS(1株当たり純資産)
= 時価総額 ÷ 純資産

PBR 1倍とは、「株価が会社の解散価値と等しい」状態を意味します。理論的には、PBR 1倍を下回る会社は、会社をすぐに解散・清算した場合の取り分よりも市場価値が低い、ということになります(実際には清算コストや簿価と時価の差があるため厳密ではありません)。

一般的な目安は次のとおりです。

  • PBR 1倍未満:割安と評価されやすい一方、資本効率に課題ありと見られることも
  • PBR 1〜3倍:日本市場の幅広い水準
  • PBR 3倍超:高ROE企業、ブランド価値の高い企業に多い

業種別の水準感

PER・PBRの「割安・割高」判定は、同業種内の比較で行うのが基本です。業種ごとに収益性・成長性・資本構造が異なるため、絶対水準だけでは正しい判断ができません。

代表的な業種傾向は次のとおりです。

業種PER傾向PBR傾向背景
銀行・保険低(8〜12倍)低(0.5〜1倍前後)資本規制・低ROE
商社低〜中(8〜15倍)中(1〜2倍)資源価格変動・配当重視
食品・医薬品中〜高(15〜30倍)中〜高(1〜4倍)ディフェンシブ・安定収益
IT・SaaS高(30倍超)高(5倍超も)高成長期待・無形資産中心
不動産中(10〜15倍)低〜中(0.8〜1.5倍)資産負債型ビジネス

東証は規模別・業種別のPER・PBR一覧を毎月公表しているため、同業他社との比較はそちらを参照すると正確です。

PER・PBR・ROEの関係

PER・PBR・ROEは独立した指標ではなく、次の重要な関係式で結ばれています。

PBR = PER × ROE

この式から、PBRが高い会社は「PERが高い(成長期待)」または「ROEが高い(資本効率)」のいずれか、あるいは両方であることが分かります。

逆に、PBR 1倍未満の会社は、PER × ROEが1未満であり、構造的に「投資家から見て利益創出力が物足りない」と評価されている状態です。例えばROE 5%、PER 15倍であれば、PBRは0.75倍となります。

東証のPBR1倍割れ要請

東京証券取引所は、2023年3月の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」において、PBR 1倍割れの上場会社を中心に、資本コストや株価を意識した経営への取り組みと開示を強く要請しました。

この要請を受けて、多くの上場会社が次のような対応策を発表・実行しています。

  • 自社株買い・配当増額:余剰資本の株主還元による1株当たり指標の改善
  • 政策保有株式の縮減:資本効率の向上と配当原資の確保
  • 事業ポートフォリオ見直し:低収益事業の撤退・再構築
  • 中期経営計画でのROE目標明示:8〜10%以上を掲げる会社が増加

投資家視点では、PBR 1倍割れの会社のうち「現預金過多・低ROE・政策保有株式が多い・配当性向が低い」条件を満たす銘柄が、改善余地大の候補として注目されやすい状況です。

PER・PBRの限界と注意点

PER・PBRは強力な指標ですが、万能ではありません。次のような限界に注意が必要です。

  1. 赤字企業ではPERが意味を持たない:分母(EPS)がマイナスのため計算自体が不能。バリュエーションには売上倍率(PSR)やEV/EBITDAなどを併用
  2. 特別損益による歪み:一過性の特別利益でEPSが膨らみ、PERが見かけ上低くなる場合がある
  3. 会計基準の違い:のれん償却の有無(日本基準vs.IFRS)で営業利益・純利益の水準が変わる
  4. 業種特性の無視:銀行のPER 10倍と新興IT企業のPER 10倍は意味が全く異なる
  5. BPSに含まれる無形資産・繰延税金資産:実質的な価値より大きく見えることがある

株ニューでの活用

株ニューは、PER・PBR算出の基礎となるEPS・BPSが変化する開示(決算短信、業績予想の修正、増資、自社株買い、株式分割)を、登録銘柄について即時通知します。

バリュエーション指標の変化点を見逃さず、自分のウォッチリスト銘柄が「割安水準に入った」「PER調整が必要なほど業績見通しが変わった」といった転換点を素早く把握できます。

出典・参考(一次情報)

※ 外部サイトのURLは執筆時点のもので、リンク切れが生じる場合があります。

執筆者

袴田 格

袴田 格Hakamada Itaru

エイジラボ株式会社 代表 / 株ニュー編集長

メガバンクを経て外資系資産運用会社にてバイサイドアナリストとして勤務。決算短信・適時開示・海外ニュースを毎日大量に読み込み、機関投資家向けに投資判断を提供してきた経験を持つ。証券アナリスト試験(筆記)合格

「いかに早く、重要な情報だけを抽出できるか」という機関投資家の視点を、AI技術で個人投資家にも届けるべく株ニューを運営。

元メガバンク元外資系運用会社アナリスト証券アナリスト試験 筆記合格

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