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金利が上がると株価はどうなる?

割引率の理論から日銀の正常化まで、
金利と株価の関係を体系的に解説

金利上昇は株価にとって逆風

金利が上昇すると、株価には基本的に下押し圧力がかかります。これは単純な経験則ではなく、企業価値評価の理論に根拠があります。ただし、「金利上昇 = 株価下落」と一律に言えるわけではなく、セクターや金利上昇の背景によって影響は大きく異なります。

2026年現在、日銀は長年のゼロ・マイナス金利政策から脱却し、金融正常化の道を歩んでいます。この転換が日本株に与える影響を理解することは、現在の相場環境を読むうえで欠かせません。

理論:割引現在価値と割引率

株価は、企業が将来生み出すキャッシュフロー(利益・配当)を現在の価値に割り引いた総和です。これを「割引現在価値(DCF)」と呼び、次の式で表されます。

理論株価 = Σ(将来のキャッシュフロー ÷ (1 + 割引率)^n)

割引率 ≈ リスクフリーレート(国債利回り)+ リスクプレミアム

金利(リスクフリーレート)が上昇すると割引率が上がり、同じ将来利益でも現在価値(株価)が下がるという関係になります。

例えば、5年後に1億円のキャッシュフローが予想される企業があるとします。割引率が3%なら現在価値は約8,626万円ですが、割引率が5%に上昇すると約7,835万円に低下します。この差が株価下落圧力となります。

グロース株への影響が大きい理由

金利上昇の影響は、すべての株式に均等ではありません。特にグロース株(高成長期待銘柄)への打撃が大きくなります

理由は、グロース株の価値の大半が「遠い将来のキャッシュフロー」に依存しているからです。割引計算では、将来が遠いほど割引率の影響が累乗的に大きくなります。

  • バリュー株:現在も安定した利益を生んでいる → 割引率上昇の影響が相対的に小さい
  • グロース株:現在の利益より5〜10年後の爆発的成長を期待 → 割引率上昇で現在価値が大きく低下

グロース株とバリュー株の違いについては別記事で詳述していますが、金利環境はグロース/バリューの優劣に直結する重要な変数です。

銀行株には追い風

金利上昇が逆風となるグロース株と対照的に、銀行・保険株には追い風になります。

セクター金利上昇の影響主なメカニズム
銀行追い風預貸金利ざや(NIM)の拡大。貸出金利上昇が収益を押し上げる
生命保険基本は追い風運用利回り改善。逆ざや問題の解消
不動産・REIT逆風借入コスト上昇、利回り比較でREITの魅力低下
公益(電力・ガス)逆風設備投資の資金調達コスト上昇
グロース・IT大きな逆風将来キャッシュフローの割引率上昇により理論株価が下落

銀行株については、金利上昇で貸出利鞘(ネット・インタレスト・マージン=NIM)が改善し、収益増加が期待できます。ただし、急激な金利上昇は景気悪化や不良債権増加リスクも伴うため、マクロ環境との兼ね合いが重要です。

日銀の金融正常化と日本株

日本では2024年以降、日本銀行が長年のゼロ・マイナス金利政策を転換し、金融正常化(利上げサイクル)を進めています。2026年時点でもこの流れは継続しており、日本の長期金利水準は過去数十年と比較して明確に上昇しています。

日銀の正常化が日本株に与える影響は複合的です。

  • 銀行・保険株のバリュエーション改善:NIM改善期待で、長年低PBRだった大手銀行株が見直されやすい
  • 成長株・高PER銘柄への下押し:割引率上昇による理論株価の低下
  • 円高方向への圧力:日米金利差縮小から円安修正→輸出企業の業績への影響
  • 国債利回り上昇:株式との相対的な魅力に変化(「株を売って国債へ」の流れが強まる可能性)

日本株が上昇してきた背景には、長年の金融緩和やコーポレートガバナンス改革がありますが、金融正常化はその前提を一部修正する要因になります。

相場全体への影響

金利上昇が相場全体に与える影響は、金利上昇の「原因」によっても異なります

  • 景気過熱に伴う金利上昇:企業業績も好調であることが多く、株価下落効果は限定的になりやすい
  • インフレ対策としての急激な利上げ:景気後退懸念が同時に高まり、業績・バリュエーション両面から株価を押し下げる(2022年の米国のケース)
  • 財政不安に伴う金利上昇:最も危険。国債の信認が問われ、通貨安・株安が同時進行する

株価指数全体のバリュエーションを判断するうえで、金利水準は「イールドスプレッド(株式益回り − 国債利回り)」として直接参照されます。金利が上昇すれば、現在の株価水準が割高に見えやすくなります。

株ニューでの活用

金利環境の変化は、銘柄ごとに影響が大きく異なります。銀行・保険セクターの業績改善開示、不動産・REITのコスト上昇に関わる決算発表、グロース株の業績修正—これらはすべて金利動向と密接に連動したニュースです。

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出典・参考(一次情報)

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執筆者

袴田 格

袴田 格Hakamada Itaru

エイジラボ株式会社 代表 / 株ニュー編集長

メガバンクを経て外資系資産運用会社にてバイサイドアナリストとして勤務。決算短信・適時開示・海外ニュースを毎日大量に読み込み、機関投資家向けに投資判断を提供してきた経験を持つ。証券アナリスト試験(筆記)合格

「いかに早く、重要な情報だけを抽出できるか」という機関投資家の視点を、AI技術で個人投資家にも届けるべく株ニューを運営。

元メガバンク元外資系運用会社アナリスト証券アナリスト試験 筆記合格

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